はんだ付け
- 出版元
- マシニスト出版株式会社
- 書籍名
- 精密板金加工の手引き
下巻 68頁 第13章 項目2 ろう付け
はんだによるろう付けを、はんだ付けといっている。 これには、はんだ、溶剤(フラックス)、はんだごてが必要である。 弊社ではろう付けの中でも特に薄板板金加工におけるはんだ付けを得意としています。 機械加工ではなく職人の経験を積み上げた技術です。 はんだ付けを解りやすく解説した良い書籍が手元にあったので、以下に書籍より引用を交えて解説します。
はんだ付けの分類
接合する金属よりも溶融点の低い”ろう”を使用して、これを接合面の間にとかし、 工作物を融解させないで2個の金属片を接合する方法を「ろう付け」という。 ”ろう”は金属またはその合金で、その融解温度によって450℃以下のものを軟ろう、 450℃以上のものを硬ろうという。軟ろうの代表的なものは、はんだである。 硬ろうは銀ろう、黄銅ろうなどが広く使用されている。
(1) はんだ
| 成分 | 溶融点 ℃ | 用途 | |
|---|---|---|---|
| すず | 鉛 | ||
| 25 | 75 | 290 | こてを使用しない火炎作業 |
| 30 | 70 | 260 | 建築用、大形ブリキ用 |
| 33 | 67 | 248 | トタン板、亜鉛板用 |
| 40 | 60 | 237 | 黄銅板、ブリキ用 |
| 50 | 50 | 212 | 一般用(電気部品、亜鉛、ブリキ板用) |
| 60 | 40 | 190 | 電気工業のような精細なろう接用 |
| 90 | 10 | 210 | 特殊電気用品 |
はんだは、すずと鉛の合金で、白ろうともいう。ぶりき、トタン、銅、黄銅などの接合に用い、 作業が簡単にできるので広く用いられている。力や熱に対して弱いという欠点がある。溶融温度および用途範囲は、すずと鉛の成分によって変わる。 表1にこれを示す。この表から解るように鉛の量が多くなると、溶融点が高くなり、酸化しやすく、はんだ付けが困難になる。 はんだ付けの最もよいのは溶融温度の低い60:40付近で、鉛害を避けるため飲食物が直接ふれる容器には鉛5%以下を用いる。 はんだの形状は、棒、線、糸状の3種類がある。下記のグラフがはんだの状態図である。(縦軸が温度、横軸が”すず”の割合)
(2) 溶剤(フラックス)
- はんだ付けに溶剤(フラックス)を用いる目的
-
- 接着面の清浄(不純物があると、はんだが流れにくい)
- 酸化膜の除去と酸化防止(経年変化の減少)
- はんだの表面張力の減少(親和性の向上)
- 付着力の強化と流れの円滑化(はんだ表面の美化、強度増加)
- 溶剤の種類
- 下記 表2参照
| 種類 | 成分・用途・適用材 |
|---|---|
| 塩酸 (hcl) | 塩酸1と水1の割合で持ち入る。 トタン板のろう付け用。 |
| 塩化亜鉛 (zncl2) | 塩酸を水でうすめ亜鉛を加えたもの。腐蝕性があるので、ろう付け部は石鹸水で洗って水洗いする。銅、黄銅、すず、ニッケルなどのろう付け用。 |
| 塩化アンモニウム (nh4cl) | 粉末状または塊状の酸性化合物で加熱すると気化する。鉄、銅のろう付けに用いる。塩化亜鉛との混合物は酸化腐蝕が少なく、優れた溶剤。 |
| 松やに | 80℃〜100℃で溶け、非腐蝕性で無害。銅、黄銅、ブリキ板のろう付け用。精密部品のろう付けにはアルコールに溶かして用いる。 |
| ペースト | 塩化亜鉛、松やに、グリセリンなどを混合した、のり状の溶剤。 |
弊社では、こての洗浄として塩化亜鉛、溶剤には松やにを使用しています。板金加工における【 はんだ付け 】としては最良かと思われます。
(3) はんだごて
はんだごての形状は右の写真に示すおのごて、けんごてが使用されている。これを一般に焼ごてとよんでいる。この他に電気ごては、連続して過熱ができるので作業上便利である。また焼ごてを常にガスバーナーで加熱しておけるように両者を一体にしたガスごてもある。弊社での経験から板金加工に使用するこては、焼きごてが適していると思われます。はんだごての頭部は、熱伝導度、熱容量、および親和力(はんだのつき)の点ですぐれている銅材を用いる。こての大きさは頭部の重量で示し、ぶりき細工には250g〜500g、特殊な作業には最大1500g、最小では10gのものがある。こては何種類も用意しておき、接合面の長さや、形状に応じて数本同時に使い分ける。ガスバーナーによる加熱と溶剤による洗浄により、こては次第に変形してくるのでハンマーで叩き直し、ヤスリ等で整形する。
はんだ付け作業
- はんだ付け作業の流れ
-
- 1…加熱したこてを溶剤中に入れる。
- 2…こてに付着した酸化物を除去し、はんだをこてに溶着させる。
- 3…こてを母材接合部にあてる、こての熱が接合部に移り適温になるとはんだが流れ込む。
- 4…静かにこてを移動させる
- 5…こての温度が下がったら再加熱し、1〜4工程を繰り返す。
- 基礎覚え(留意事項)
-
- 1…接合面の洗浄
- はんだ付け部の酸化物、油脂類の不純物を除去する。
- 化学的方法・・・・・四塩化炭素、トリクロルエチレン、りん酸ソーダ
- 機械的方法・・・・・研磨、やすり、サンドペーパー、ブラシがけ
- 2…こての加熱
- こての背のほうを十分に加熱する。先端の熱が失われるので貯えられた熱が先端に集まるように。
- ガスバーナーで加熱するときは平均に行い、過熱に注意。
- こての先端は、はんだメッキされていること。
- 加熱温度は300℃前後が最適。(密着したはんだは光沢ある銀白色)
- 加熱不足では、はんだの流動性がなく、加熱しすぎると表面が酸化してしまう。
- 3…フラックスの塗布
- フラックスは箸の先、細筆を用い、平均に膜状に接合個所に薄く塗布する。
- 接合個所以外の面に飛散、落下させない。
- 4…接合
- はんだ付けされる金属の表面温度は、はんだ溶融温度より50〜100℃高くする。
- 品物の熱容量によっては、こてを変えるか、予熱しておく。
- はんだ棒が固まるまで保持金具で固定しておく。
- 接合面の外側(図1)や縁に盛りあげた(図2,3)はんだは弱い。両面間のはんだ厚み0.08〜0.13mmくらいが最強。
- はんだ付けの強度に影響のある接合面の適否を下図に示す
- 5…後処理
- 腐蝕性のフラックス(塩化亜鉛)を使用したあとは、必ず洗浄する。
- 1…接合面の洗浄
二辺フランジ付
製品形状
箱形状の一角を切り取り上から見た状態
立ち上がり部分に数mmの折り曲げを付け、
その面をはんだ付けしています。
面のはんだ付け
強度(大)最適
(図1)
強度(小)不可
(図2)
強度(小)不可
(図3)
強度(小)不可
エピローグ
観覧いただき有難うございます。このページは精密板金加工の手引きより引用したものです。書籍が平成元年2月に出版されたものの為、現在(平成18年)では環境問題等の点から使用禁止や非推奨の情報も含まれています。しかし、技術面での根本的な部分では現在でも通用するかと思います。作者の勉強も兼ねて掲載しました。ご了承下さい